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キスをして
第9章 小塚の本懐
「律は年末年始は仕事だよね」

乾杯のグラスビールから白ワインのソーダ割りに変わって2杯目。

「仕事するつもりだけど誠司は休むんでしょ?」

「そうだね店は31日の午前で閉めて4日から開店予定かな。送迎はいつも通りさせてね」

「ゆっくりしてて良いよ?お姉さんとか会いに来たりとかするんじゃない?」

「平気だよ。来ても長居しないさ。どちらかというといつも疲れてる顔してる律が愚痴一つ言わないことの方が気掛かりかな」

「愚痴なんて聞きたくないでしょ」

「何も言わないのも心配だよ」

「ん~愚痴…ふざけた人多いしセクハラ発言上等だったり給料安いし残業ばっかりだし家に帰れなかったり食事も出来なかったりお風呂に入れなかったり入ってくれなかったり高熱でも休めなかったり点滴打ちながら仕事したり―」

「…仕事本当に好きなんだね」

再確認するみたいに言った言葉が不思議でたまらない。

「どうしたの?急に」

「仕事の話をするときはすごく楽しそうだなと思ってね」

「えぇ?今申し訳ないくらいの愚痴だったよ」

「うん。いかに日下さんがセクハラじみてて律は仕事しかしてなくてちょっぴりブラックなんだね―でも好きだよね」

「好きだね。ブラックな体系はこの業界じゃよくあるし辞める人多いけど自分の仕事にいっぱいいっぱいで他人に気が回らない状況でも気を回そうと努力する集まりだから好きなのかも。人が楽しいってなかなか無いかなって」

「ずっとあの会社で働いていくの?」

「そのつもり……何か変だよ?どうかした?昨日の事やっぱり気にしてる?」
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