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キスをして
第11章 小塚誠司
低めのヒールで階段を駆け降りる。
最終を報せるベルに慌てながら車内に滑り込んだ。
本当は誠司に連絡するようにキツくキツく言われているが最近は忙しいのか家に着けばすぐに仕事に掛かって私が眠った後も作業場に籠もりっぱなしだった。
忙しいと分かっているのに頼む気になれない。
駅に着くと早足で繁華街を抜け商店街まで急ぐ。正直本当は歩いて帰るのは怖いが毎回タクシーに乗るのはおサイフ的に厳しかった。
商店街を抜けると未だ煌々と明かりの点いた時計店に目が止まる。
やっぱりまだ仕事してる。
スイスから帰ってきてから急に忙しそうな日が増えた誠司に言葉には出来ない不安に取り付かれてしまっていた。
「…やっぱりコンビニ寄ろ」
コンビニまで走って戻り一つだけ残っていた2個入りのショートケーキを買って時計店に急いだ。
こんな風に店を訪ねるなんてずっと昔の事みたいだ。
荒れた息を調えるように深呼吸をしてドアをノックした。
近付いてくる足音に気持ちが逸る。
「はい…律、鍵無くした?」
「ううん。たまには良いかなって」
「入って。走ったの?迎えに行ったのに」
作業台には解体された時計が置かれている。
仕事の話は聞かない。誠司が私に仕事の内容を聞くことはないのと同じだ。
「忙しい?…よね。ちょっと休憩しない?コンビニでケーキ買ってきたの」
「貰うよ。コーヒーで良いかな」
「私がやるから座ってて」
隅に置かれたカセットコンロに火を付けてカップに粉を入れていく。
隅に置かれたテーブルを出してケーキをパックから出す音が背後から聞こえる。
最終を報せるベルに慌てながら車内に滑り込んだ。
本当は誠司に連絡するようにキツくキツく言われているが最近は忙しいのか家に着けばすぐに仕事に掛かって私が眠った後も作業場に籠もりっぱなしだった。
忙しいと分かっているのに頼む気になれない。
駅に着くと早足で繁華街を抜け商店街まで急ぐ。正直本当は歩いて帰るのは怖いが毎回タクシーに乗るのはおサイフ的に厳しかった。
商店街を抜けると未だ煌々と明かりの点いた時計店に目が止まる。
やっぱりまだ仕事してる。
スイスから帰ってきてから急に忙しそうな日が増えた誠司に言葉には出来ない不安に取り付かれてしまっていた。
「…やっぱりコンビニ寄ろ」
コンビニまで走って戻り一つだけ残っていた2個入りのショートケーキを買って時計店に急いだ。
こんな風に店を訪ねるなんてずっと昔の事みたいだ。
荒れた息を調えるように深呼吸をしてドアをノックした。
近付いてくる足音に気持ちが逸る。
「はい…律、鍵無くした?」
「ううん。たまには良いかなって」
「入って。走ったの?迎えに行ったのに」
作業台には解体された時計が置かれている。
仕事の話は聞かない。誠司が私に仕事の内容を聞くことはないのと同じだ。
「忙しい?…よね。ちょっと休憩しない?コンビニでケーキ買ってきたの」
「貰うよ。コーヒーで良いかな」
「私がやるから座ってて」
隅に置かれたカセットコンロに火を付けてカップに粉を入れていく。
隅に置かれたテーブルを出してケーキをパックから出す音が背後から聞こえる。