この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キスをして
第11章 小塚誠司
「コンビニのケーキも意外に美味しいね」
「たまには良いでしょ?」
ケーキを食べ終わって会社の話をする気にもなれず話題を探すが何を言っても白々しくなりそうで口を開けない。
「何かあった?」
私はやはり何も隠しきれないらしい。
「って言いたいのは律なのかな?」
「…っまだ仕事するよね!私帰るね!」
ダメだ。勢いが足りない。
バッグを掴んで作業場を出た。
「律!…帰るな」
その声が悲痛に聞こえて脚が止まった。
「せっかく来たのに帰らないでよ…あと一時間待ってて終わらせるから」
仕事をする誠司の横でコーヒーを入れ直し上がりに座って部屋を眺める。
読めない文字で書かれた宛名のダンボールの山に忙しさがよく分かる。
最近一気に量が増えた。
聞くのが怖くなる。
答えの予想もつかないのによく分からない不安だけが募っていく。
「眠い?」
「ううん。今日仮眠取ったの遅かったから」
どうして時計職人って格好良く見えるんだろう。
初見で騙すの得意よね。
「……よし、今日は終わり」
「お疲れ様」
「律もお疲れ様…夕飯は?」
「会社でカレー食べた」
「会社でカレー作るの?」
「まさか出前頼むの。半熟ゆで卵とほうれん草とチーズ乗せ!」
「ははっ食べ過ぎだよ。太るよ?」
「うそ!?太ったかな!?」
「どうだろ見てみようか?」
「っ結構です」
「たまには良いでしょ?」
ケーキを食べ終わって会社の話をする気にもなれず話題を探すが何を言っても白々しくなりそうで口を開けない。
「何かあった?」
私はやはり何も隠しきれないらしい。
「って言いたいのは律なのかな?」
「…っまだ仕事するよね!私帰るね!」
ダメだ。勢いが足りない。
バッグを掴んで作業場を出た。
「律!…帰るな」
その声が悲痛に聞こえて脚が止まった。
「せっかく来たのに帰らないでよ…あと一時間待ってて終わらせるから」
仕事をする誠司の横でコーヒーを入れ直し上がりに座って部屋を眺める。
読めない文字で書かれた宛名のダンボールの山に忙しさがよく分かる。
最近一気に量が増えた。
聞くのが怖くなる。
答えの予想もつかないのによく分からない不安だけが募っていく。
「眠い?」
「ううん。今日仮眠取ったの遅かったから」
どうして時計職人って格好良く見えるんだろう。
初見で騙すの得意よね。
「……よし、今日は終わり」
「お疲れ様」
「律もお疲れ様…夕飯は?」
「会社でカレー食べた」
「会社でカレー作るの?」
「まさか出前頼むの。半熟ゆで卵とほうれん草とチーズ乗せ!」
「ははっ食べ過ぎだよ。太るよ?」
「うそ!?太ったかな!?」
「どうだろ見てみようか?」
「っ結構です」