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キスをして
第12章 律香と誠司
「実はスイスのダヴィットさんが正式に引退することになった。跡は俺が継ぐ」

「·····それはもうずっとスイスで暮らすっていうこと?」

「そうだね」

「跡を継ぐのはいつから分かってたの?」

「正式に決まったのは前回スイスに帰った時だ」

「前から決まってたわけ」

「3年前此処に来る前から分かってたことだ」

「なんで··どうして言ってくれなかったの」

「·····言いたくなかったんだ。言ってしまうと律は俺に振り向いたりしてくれないと思ったから」

勝手な人
分かっていながら私を騙したわけ?

「勝手だったと思ってる。早くに言うべきだった事も分かってる。だけど自分の中で結論も出ていないのに漠然と律に結論を任せることはしたくなかった」

沈黙が私を誠司に視線を向けさせる。

「律··結婚してくれないか」

··──────っ

「一緒に来て欲しい」

·······───

「泣かないで··急だよな。でも考えてみてくれないか」

その後誠司が私を気遣ってくれていたけど何も頭に入らなかった。
自分が泣いていたことも気付いていなかった。

でも翌朝になって漸く理解できた。

結婚したいと言ってくれた事は嬉しい。考えてないと思っていたからすごく嬉しかった。
それなのに私は自分の仕事が先に浮かんでしまった。

私の今まで積み上げてきたものは?
キャリアを捨てるの?
向こうに行って今納得できるの?
満足できるだけの成果が得られてるの?

プロポーズされて結婚していった人を知っている。
転勤に合わせて地方に行ったり、子供ができて仕事を辞めたり、皆とても幸せそうだった。

なのに、どうして私は仕事が先になってしまうの?
映画やドラマみたいに全てを手放して彼の元に行けないの?

私の愛情はその程度だと突き付けられてしまったみたいだ。
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