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第2章 間宮と小塚

「疲れた…」

改札を抜けたところで思わず声が出た。
このところ寝るためだけに家に帰っているようなもので、今日も既に２４時を回っている。
週末ということもありこの時間でも駅前の繁華街は賑わいでいた。

家まで歩いて１５分。
駅から５分程歩くと路地に入る。路地を抜けると小さな商店街がある。そこを抜けた先のロータリーの側に私の部屋がある。
駅には少し遠いが商店街の通りにはコンビニもあるし、よく使う銀行も５分歩けばスーパーもある。何より家賃も安い。

発泡酒でも呑んで明日はゆっくりと休もうと思いコンビニに寄る。
毎日歩く道に慣れてはいても１週間続いた残業の後にはつらいものがあった。
商店街は時間が遅いこともありシャッターが閉まり街頭も消えている。コンビニの灯りを背後に感じながら足早に家路を急ぐ。階段下の郵便受けからDMを取り出してから階段を上る。

「こんばんは」

上がろうと足を踏み出したと同時に声を掛けられてしまった。

「こ、こんばんは」

踵を返して部屋に向かおうとするが彼はお構いなしに話し続ける。

「一緒に呑みましょう。僕も今から呑むところなんです」

私の袋を指差しながらにこやかな顔で私の返事を待っている。
のではなく降りてくるのを待っている。

「ここで待ってますから荷物置いてきてください」

「ひとりで呑もうかと…」

「待ってますね」

肯定以外は受け入れる気はなさそうなので仕方なく部屋への階段を急いだ。