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キスをして
第2章 間宮と小塚
階段を降りると彼はにこやかな顔で手招きをしてアパートの隣にある『小塚時計店』に入っていく。
「寒いですよ、間宮さん。早く中にどうぞ」
3年程前にずっと空き店舗になっていたこの場所にできた店だ。一度腕時計の修理をしてもらってから時々話すようになった。
店の中に入ると奥の工房に灯りが点っていた。
「仕事してたんですか?」
「今区切りがついてお酒でも飲んで寝ようかと思って戸締まりを確認していたらコンビニ袋持った間宮さんが見えたもので」
彼は工房のストーブの前に丸椅子を出しながら私をソファに促す。
「一人で呑むつもりだったのに良かったんですか?」
「…断って良さそうな雰囲気してませんでしたよ」
軽く笑った彼は時折幼く見える。
「すみませんでした。間宮さんと一緒に呑みたかったんです」
「つまみはさきいかとアーモンド位しかないですけど」
少し申し訳なさそうに笑う彼を尻目に発泡酒のプルタブを開けた。
慌てたように彼が発泡酒の缶を私の缶に当てて乾杯の振りをした。
「その時計調子大丈夫ですか?」
「お陰様で」
「良かった。古い時計だったから部品も中々見つからなくて遅くなっちゃいましたもんね」
「いえ、こちらこそ無理言ってすみませんでした」
「仕事ですから」
祖母が昔使っていた年代物の腕時計を祖母が亡くなったときにもらい受けたものだった。
針が動かなくなってしまって色んな時計屋を回ったものの修理は出来なかった。
そんな時彼の店が出来た。時間は掛かったが彼は直してくれた。
「寒いですよ、間宮さん。早く中にどうぞ」
3年程前にずっと空き店舗になっていたこの場所にできた店だ。一度腕時計の修理をしてもらってから時々話すようになった。
店の中に入ると奥の工房に灯りが点っていた。
「仕事してたんですか?」
「今区切りがついてお酒でも飲んで寝ようかと思って戸締まりを確認していたらコンビニ袋持った間宮さんが見えたもので」
彼は工房のストーブの前に丸椅子を出しながら私をソファに促す。
「一人で呑むつもりだったのに良かったんですか?」
「…断って良さそうな雰囲気してませんでしたよ」
軽く笑った彼は時折幼く見える。
「すみませんでした。間宮さんと一緒に呑みたかったんです」
「つまみはさきいかとアーモンド位しかないですけど」
少し申し訳なさそうに笑う彼を尻目に発泡酒のプルタブを開けた。
慌てたように彼が発泡酒の缶を私の缶に当てて乾杯の振りをした。
「その時計調子大丈夫ですか?」
「お陰様で」
「良かった。古い時計だったから部品も中々見つからなくて遅くなっちゃいましたもんね」
「いえ、こちらこそ無理言ってすみませんでした」
「仕事ですから」
祖母が昔使っていた年代物の腕時計を祖母が亡くなったときにもらい受けたものだった。
針が動かなくなってしまって色んな時計屋を回ったものの修理は出来なかった。
そんな時彼の店が出来た。時間は掛かったが彼は直してくれた。