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桜木母娘の奮闘記
第2章 庭師の男
屋根に残っていた雪は、朝日に溶かされて徐々に下り落ちて行く。
行き場を失った雪解け水は、飛び石の上へ次から次へと落とされ、最終的にひとつの水たまりを作っていった。
ぱしゃり
踏まれれば一瞬であった。
水たまりの水は四方八方に飛び散り、己を踏みつけてくれた犯人の足元を濡らした。
『冷たっ』
由美はそれだけ呟くと、振り向きざまに水たまりを睨み付け、また別の飛び石へと足を運んだ。
残された水たまりは、ゆらゆらと空を写しているだけであった。