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桜木母娘の奮闘記
第2章 庭師の男
『ただいまー』
靴を脱ぐと、上着をハンガーに掛ける。
しかし、外の冷気に当てられた手は
かじかんで思うように動いてくれなかった。
「ありがとうね、由美。
寒かったでしょう?」
部屋の奥から、洗濯かごを持った冴子が出てきた。
彼女もまた庭で洗濯物を干していたためか、その鼻頭は痛そうに赤い。
『大丈夫だよ、近所に回覧板持ってくくらいヘーキ』
「やっぱり若いわねー」
『お母さんにも、まだまだ若くいてもらわなきゃ』
冴子は目をまん丸にさせ、そして今度はそれを細めた。
「この子ったら」
大きな家に、小さな笑い声が漏れた。