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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「……。」
マグカップを持っていたけど、危うく落としそうになった。
私ももう社会人になって数年経つ。高校の時も含めたらそれなりに恋愛もしてきたし、それなりに男に貢がせてきたし、それなりに『恋愛偏差値』は高めだ。
でも、この展開には心底驚く。
「俺はな、サファイアのリーダー・テヒョンだから家に泊めたっていう深層心理じゃなくて」
「ポールに会うための手段として、泊めたくもない男を家に泊めたっていう深層心理が見えるお前の人間性に惚れたんだよ」
「……つっ、つまり私が貴方の事を、スターのテヒョンとして接さずにあまり仲良くなりたくないけど利用したい男友達として接したから、貴方は惚れたのね?」
「まあ飛躍してるけど、そういう事だな」
飛躍してるのはあんたの方だ。という言葉が喉に突っ返そうになった。
「何で突然そんな事言い出したの」
「いや、私の事を気になってたのは知ってたよ。でもなんで今?」
「財閥の話を聞いて、コイツ本物だなと思った」
「ええ?何それ」
「昨日の夜、俺に帝国グループの息子か?と聞いてきただろ。違うと答えた時のお前の顔は本当に安心してそうな顔だった」
「でも他の女なら、残念そうな顔をする。理由は一つ『女は誰しもロマンティックなドラマのヒロイン』になりたいからだ」
「──確かに安心した。もし……貴方が息子なら、自分の父がこうなってて気が気じゃないと思ったから。こんな事言うのは申しワケないけど」
「私は『普通の家に生まれた普通の子』が一番幸せだと思ってる」
「財閥の苦しみが一般人なりに理解できるからこそ、貴方がその苦しみを味わっているのなら、それは心底可哀想だな、と憐れんだの」
「俺の女になる気は無いか?」
「半年で良い。半年くれたら──お前をヒロインにしてやる」
「ヒロイン?」
「ドコに出しても恥ずかしくない女って事だ。」
「すでに恥ずかしくないけど」
「違う、バカ言い合おうって魂胆じゃねえんだよ」
「真剣に言ってんだ」
「俺に半年くれ。───今のお前を俺にプロデュースさせてくれ」