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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
昨日、家まで送ってくれたマネージャーは二日連続で一緒に居る私達を見て不思議そうな眼をしていた。──それだけじゃないのもあるんだろうけど。
勿論、彼の目が『クレイジー』になっていたのはテヒョンの態度のせいも一理ある。
バンの中で連れてこさせた専属メイクアップアーティストの『テヒ』と呼ばれる女性に私をメイクさせた。──出来は最高だった。
今……銀座アンティークバーという名前の喫茶店の鏡に映る私は女優ではなくて、高校の時のジャージを履いて夜、自宅で過ごしている柳沢りさ。でもそれを信じられない位の出来……とでも言った方が分かり易いだろう。
「ねえ、服装可笑しくない?」
「俺が決めたんだからおかしいワケねえだろ」
暖房の風で、かすかに揺れる紅茶。
彼の紅茶は何も変色していないけど、私の紅茶はミルクのせいで凄い色になっていた。
「マネージャーさん不思議そうやったね」
「ああ。アイツは俺の事よく知ってるから」
「ふうん。私と二日一緒に居る事がそんなに不思議だったのかな?」
「それも有るだろうし、わざわざデパートに止めてお前の服買った事も不思議だったんだろ」
「何も言われないの?」
「何に対してだよ」
「私は──日本人、なのよ。」
そう、思い出したのは今朝のあのやり取りだった……。