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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
「……私、仕事クビになったんです。たった今」
「え!?」
「知ってるでしょ?それなりに頑張ってきたし、それなりに遣り甲斐も見つけてきた矢先でした。理由は代表すら知らなかった──」
「でも”何か力が動いてるはず”と言われたんです。何の力なのか、何故そこまで出来る人間に嫌われたのか、それすらも分からないんです」
「だけど家に帰ったら、お金になりそうなバッグや時計もあるし次の仕事が見つかるまでは、と思ってました」
「でも……それすらもできないなんて」
「引っ越し業者は来ていましたか?」
「いえ──。ただ、今日付けという事でしたので鍵を交換はしていたと思います」
目の前の警備員のおじさんは、何が何だかわからない。といった顔をしている。──だけど、わからないのは私の方だ。
年を明けて……気合いを入れて……さあ、今日から頑張ろう!と踏ん切りをつけた瞬間に起こったこの一連の出来事。
自然と涙があふれ出た。きっと会社では強がっていたのかもしれない。
「……わっ、わたし。別に嫌われる事なんてしてないんです」
「それなのに頑張った結果も他人に取られて、頑張って買わせた家も又手の届かない場所に戻ってしまった」
「もう、本当に何がどうなってるのかすら──分からないんです」
女は強い、とはよく言われる言葉。
でも女として生きてきたハズのは私は強くなんてなかった。想像もしていない出来事に何度も襲われて平然としてらんない。こうやって……止め処なく涙が出てくる。
全く──強くなんてない。