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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
周りの人は私をどう思うんだろう?
新年早々、スーツを着て出社しているOLだろうか?それとも──表情で何かを読み取ってくれるのだろうか?
子供大好きな私が、無垢に笑う目の前の男の子を見てウザく思ったのは、きっと心に余裕がないからだ。
行く宛も無く、路地裏に入った時。
正月だというのにシャッターを開けている質屋を見つけた。
ショーウィンドウには形が古い指輪が沢山並べられてある。
家もなく、貯金も使えない、車も──クレジットカードも、何もかも使えない私は『現金を作る』しか今出来る事が無い。
営業しているのか、ただシャッターを開けているのか分からない小さな質屋に入った時、老眼鏡をかけているおじいさんと目が合った。
一瞬で分かる。
この人は、鑑定歴が長い『本物』だと。
保証書も、箱も袋もないけど──かけてみるしかなかった。