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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
「ごめんね、営業は3日からなんだ」
「あの──」
「何だい?」
とても優しいしゃべり方。もう随分と前に亡くなった自分の祖父の面影があった。
「新年早々、こんな暗い話をするの申し訳ないんですけど──」
「私、今日で全てをなくしました。家も勝手に誰かに解約されて、銀行口座は差し押さえ、会社は理由を教えてくれず私をクビにしました」
「クレジットカードも使えません、携帯代を払っていたのに携帯すら使えません」
「……っ、こんな事言っても仕方無いのはわかってるんです」
「──でもっ、どうする事も出来なくて……っ」
「この指輪と時計、買い取って頂けませんか?」
「じゃないとっ──。じゃないとっ、私今日から寝る所も食べる物も用意できないんですっ」