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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆


「惚れたのはアンタの勝手でしょ。それを今更、手に入らないからって人の人生を潰す様な事して……」

「で、挙句の果てには質問返しって?バカにしないで」


「お前忘れてねえか?」

「何をよ」



「お前が言ったんじゃねえのか?」


私の腕を振りほどいて、残り少ないであろうボックスからシガレットを一本取りだした。

慣れた手つきで火をつける彼。──きっとこれはハッカだ。


私のフィリップモリスとは全然違う香りが部屋に漂いはじめた。




「お前があの日、この俺に言ったんだ。」


「汚え英語の置き土産と一緒に……」


「『本当に私が欲しいなら、そんな『契約』じゃなくて私がアンタの側に居ざる負えない状況を作ってみなさいよ』とな」



「それを俺は実行したまでだ。もっと分かり易く言おうか?」


「俺はお前のその言葉にインスピレーションを受けた。歌手がインスピレーションを受けて、新しい物事を実行する事の何が悪いってんだよ」




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