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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆


「バカにするのも大概にしてくれる!?」

「はあ?」


「アンタが手まわしたんでしょ。」

「何に、だよ」

赤色のジャージのポケットから、マルボロを取りだそうとした彼の手を持った。

今度は──私がジッとコイツを見つめるばんだ。



「私、今朝会社をクビになった。家も誰かに売られた。荷物も取れないから車も手元にないの。カードも凍結されてる」

「私の手元に残ったのは、一番憎いアンタから貰ったこのショパールの時計だけよ。」


「へえ。スターサファイア、売ってきたのか?」


「売らせる様に仕向けたのはアンタでしょ」


「……」

これもまた高そうな掛け時計の針が進む音しか部屋には響いていなかった。


「お前もやっぱり根っからの営業マンなんだな。事を円滑に進めるために怒鳴るんじゃなくて、目を見つめて低い声でカマシを入れてきやがる」

「なあ。教えてくれよ」



「───どうして俺がここまでする必要があるんだ?」


「───どうして、お前は俺がここまでしないと韓国に出向かないんだ?俺の……言う事を聞けないんだ?」


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