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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
「私はオッパが大好きだから。オッパを元気にしてくれたのがオンニなら──私に出来るオッパを元気にしてくれた事へのお礼はメイクとかヘアースタイルとかでしょ」
「出来ることをして、リサさんのことを今よりキラキラさせてあげたい。ってそう思ってるんです」
「オンニ、幼馴染みでも彼女でも奥さんでも私は何でも構わない。でも──テヒョンオッパを守ってあげて。彼は凄く弱いから……。」
「オンニには彼を元気にさせる力があるんだと思う。私は──答えを求めないから。だから、何も言わないで。」
ああ、彼女が言いたかったのはこれか。と理解するのに時間は掛からなかった。
確かに綺麗にしてあげたい、と思ってくれているだろう。でもそれ以上に思っているのは──テヒョンのことだ。
きっと恋愛対象ではないはず。
でも本当にテヒョンのことを愛している。だからこそ私に……『テヒョンを悲しませないでくれ』と遠回しに頼みこんでいるのだ、二人きりの今。
「────。」
返事が出来なかった。
でも、完璧にメイクされ終わった私の顔を一途に見つめるチワワのような瞳を、強く見つめ返す。
彼女が言ったのだ。【答え】はいらない、と。
だから私も答えない。
これが何を意味するのか、自分でも分かっていないんだから。