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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
  

「だから、私にとってのテヒョンオッパは大事な人。彼は私が売春婦だった過去もマトモに中学すら出てない事も全部知ってるのに、なにも言わずにただメイクの才能だけを見てくれた」


「オンニ。韓国ではホステスや売春婦への風当たりが日本より強いんです。それはそれは本当に。」


「──なのに、オッパは違った」


「そんなオッパが去年日本に行った時から元気が無かったんです。年末の東京ドームでのコンサートは大成功だったハズなのに、帰国してからも、どこか上の空の時が多かった。」


「そして、しばらく経って三ヶ月前くらいかな?怒ったような表情をしたと思えば、何か心配したような表情をして──。何ていうんだろ、病気の犬を飼ってる飼い主さんみたいな。そんな感じ、分かります?」


良い例えだと思った。

男も女も大事にしていた愛犬が病気とか危篤になれば表情はコロコロ変わる。そりゃ心配もするし、何かに対して怒りたくもなるし──。

その時期は……私が強制連行された時期と被っているんだろう。


「でもね、ここ一ヶ月くらいかな?二週間くらいかな?オッパの表情が変わったんです。常に楽しそうにしてるし肌の調子も本当に良くなってる。」

「彼はプロだからカメラの前では出さないけど──でもスタッフさんとか私達メイクや、メンバーさんの間では"飼ってた犬が元気になったのかな?"って噂が出たくらい。」

「実は犬なんて飼ってないんですけどね。でもそう思わせるほどの変わり方でした。」


「だから──その原因がオンニであるなら私は今以上にオンニを綺麗にしてあげたい」


「……ん?」

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