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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆

文化ホールはかなり広かった。

ここで保護者説明会などを行っているらしい、百合大学というレッテルを守るためにも豪勢に作られている。


私達の席は、ヒョナの元カレのお陰も有りど真ん中。

さすがに1年生から4年生までの合同ダンスショーだし──もっと言ったら、これには現役練習生という云わばアイドルの卵達も出る。


人が溢れかえりそうになっていたし、甲高い悲鳴も聞こえてきた。


きっと、好きなアイドルを追いかけるためにこの大学に入学した子も居れば、わざと練習生と付き合い……そこからの『出世玉の輿』を狙うタイプの女の子も居るんだろう。


本当に『人生いろいろ 男もいろいろ 女もいろいろ』だ。


「あっ、一曲目、私が好きなヤツだ」

「へえ誰の歌?」


「テヒョンオッパよ!」


────テヒョンの曲……。


「どんな曲なの?」


「ええ、知らない?つい一週間前くらいにユーチューブに公開されたソロの新曲だよ。」

「聞いてみて!ダンスナンバーだけど歌詞が良いんだよねえ」

タイミングは最高だ。ヒョナがしゃべり終わったと同時に暗くなるホール。


沢山の拍手と歓声に包まれて幕が上がる。

男の子三人が右腕を高く掲げた瞬間に流れ出したのはベースゴリゴリの低音だった。

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