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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆

「会長!」

ネイビーのスーツを綺麗に着こなした会長が居たのだ。

このスーツは確実に高い、多分アルマーニだと思う。

さすがは芸能事務所のトップだ。——こんな人とサシで喋ってるなんて変な感じ。


「君は各人のするべき事をしっかり分かっているんだね。」

「嫌みですよね、すみません。あんな偉そうに」


「あぁ、嫌みに聞こえたかい?ごめんね。違うんだ、その通りだな、と思って」

「事務所は売り出す方向性を考える、アーティストは枠にとらわれないで新しいものを造り上げる。そこで『リアルなアーティスト力』が試されるわけなんだ」


そう言って彼は私の肩を二度優しく叩いてから部屋の中に入っていった。

まるで先生に誉められた小学生の様に少しだけ嬉しくなった私は食堂に向かう。


ピョンが笑顔で私を見ていた。——…支部長はちょっと心配そうな顔だったけど。




何となく——

何となくだけど、今回の韓国出張は楽しかった気がした。



偉い人に褒められて嫌な気持ちになる人って居ないでしょう?
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