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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
「ここって、サビの部分?」
あ、絶対今の英語の文法間違ってたな、と思ったけど……
「ああ。」
案外伝わるのが英語というものらしい。
「納得いかないのはここでしょ?」
「——別に」
シンプルなシャーペンを取って、スーツのポケットからメモ帳を取り出しサビ部分のメロディーの楽譜を書きうつした。そして、隣の椅子に座りキーボードでそれを弾いてみる。
「なるほどね、在り来たりなんだ。」
「なっ——在り来たりって……っ」
「だってそうでしょ?」
「自分でもわかってるからこそ、悩んでたと思ってたけど」
「……ここを半音下げて~で、この員踏む部分をシの音にしてみたら?」
楽譜を書き直してからキーボードで弾いてみる。
「これは突拍子ないメロディーだろ。一般からしたら」
「何言ってんの、突拍子ないものを作って売るのがアーティストじゃん」
バカみたいな彼の返答に思わず拍子抜けしそうになった。
「………。」
「確かに、このままのメロディーだと…」
といって、彼が作っていた部分を弾いてみる。
「ほら、スゴく耳には入りやすいと思う」
「でも耳に入りやすいのは、どこかで聞いたことがあったり人間が安心感を覚える=懐かしさや、心地よさがあるからなのよ。」
「で、これをこうして私のヤツに変えてみて」
と言って、また弾いた。次は——私が考えたものを。
「確かに、このままだとピアノ弾けない子が弾いてるみたいになるけど、ここに歌詞が入って上手に員を踏めたら、次はこのメロディーが聞きやすい様に感じる=売れる、とおもうんだけどな。」
「つまり?」
「既製品のパロディーはその場だけ。」
「新しくて誰からも歓迎されないだろう、と思われる基盤を作るのがアーティスト。」
「ちょっと可笑しいだろ、突拍子無さすぎるだろ。と思っておきながらも、口に出さずアーティストの真の力を信じて、世間に歓迎させる様に仕向けるのがプロダクション。」
彼の目は笑っていない。言い過ぎたかな?と思ってじゃあね、と日本語で呟いてから部屋を出た。
少し小腹がすいているし、ご飯でも食べようと思い食堂に向かった私がドアを開けたその目の前には———。
「……ああっ!」