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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「何言ってんだ。あんなレイシスト発言がネットに出回った時から終わったも同然だろ。その内、どっかに身売りするさ」

「まあ、長男だもんね。身内の不祥事はその財閥の危機にもなるし──」


「でも、マジで良かったじゃん。あのままだったらアートもヤバイぜ」

「何で?」


「あそこは『北系』だからな。現に資産のいくらかは向こうに持って行ってたって噂を聞いた事がある」

「何それ。私、韓国に住んでるけどそんな噂、聞いた事ないわよ」


「俺が聞いたのは、とある有名な政治家だ。上の方のトップシークレットになってるんだろ。噂を広めるにしても相手がデカすぎるからな」

「違うかったら裁判になって、一発で多額の賠償金と地位を失う事になる。多分、日本でも芸能人だと中居さんとかそういう一部の口の堅い人しか知らない話だ」


「アンタが中居さんと同じレベルって言いたいの?」

冷ややかな目で見る私を軽く足蹴りするマネをする。


「中居さんに連れてってもらったんだよ。その話を聞いた場に」

「ええ!羨ましいわ」


「俺からしたらテヒョンにそこまで愛されてるお前が羨ましいわ──」

「私に愛されてるテヒョン、じゃないのね」

と言い終わって直ぐに口を塞ぐ。


だけど……認めた様なモンだったさっきの言葉。


「もう言ってもしゃーないだろ。お前がDVでもされてる様だったら話は別だけど」

「そこまで綺麗になられて、そこまで幸せそうにされたら俺も何も言えない。」


「──ただ、ぶっちゃけ今アメリカ進出を会社で狙ってる。」

「………。」


「だから今の俺たちに似合う言葉って言ったら、格好付けた言葉でも何でもない『お互い、がんばろう』のコレだけだよ」



『お互い、頑張ろう』


深く胸にのしかかった。




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