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シャネルを着た悪魔
第12章 ☆CHANEL NO12☆
「お荷物です。」
整形顔の男性がカートに乗せて運んで来たのは大きなスーツケース三つ。
「……私宛ですか?」
「はい。送り主さんからは、もし彼女が受け取り拒否する様なら日本の住所を聞いて送ってくれ。と言われてます」
「ちょ、ちょっと失礼します」
自分の荷物を見るために、相手にこんな言葉を使うなんて。
一番手前にあるスーツケースを開いた。鍵はかかっていないタイプだ。
上に置かれているのは、私がずっと使っていた携帯。……テヒョンから宛がわれてたものじゃない。
そしてパスポートだった。その下には沢山の服が埋まってある。
私は携帯とパスポートだけ取り出して、もう一度ファスナーを閉める。
「どうなさいますか?」
──日本に帰れ、ってことか。
きっとこの調子だと携帯もすでに復活してる。家族と連絡取るのもリョウと連絡を取るのも自由。
だけど厄介なのは、この携帯にはテヒョンの番号は入っていない。
「──っ、日本に送ってて下さい」
『強制連行』の次は『強制送還』な訳だ。BNのカードも持っているけど、心理戦の得意なアイツの事だ。
先手を打って、何かしら私をいれない様に伝えてると思う。
私が彼と居たと云う証拠は、ホテルマンが『かしこまりました』ともう一度下げていったスーツケースの中に死ぬほど入ってた服と、付けている腕時計。
そして財布の中の、クレジットカードと帝国の役員だけが持てるゴールドカードのみだ。
写真とか番号とか、そういう目に見えるものは一切無い。
「──ふざけんなよ」
独り言は、いつも私の飾らない本音
「アホな真似ばっかりしやがって」
「勝手に側において、こんなに好きにさせといて──また始めに戻って、勝手に捨てるんかよ。」
「こんなに……好きにさせといてっ」
悔しくて唇を噛んだけど、その癖を止めてくれる男性はもう私の側には居なかった。
整形顔の男性がカートに乗せて運んで来たのは大きなスーツケース三つ。
「……私宛ですか?」
「はい。送り主さんからは、もし彼女が受け取り拒否する様なら日本の住所を聞いて送ってくれ。と言われてます」
「ちょ、ちょっと失礼します」
自分の荷物を見るために、相手にこんな言葉を使うなんて。
一番手前にあるスーツケースを開いた。鍵はかかっていないタイプだ。
上に置かれているのは、私がずっと使っていた携帯。……テヒョンから宛がわれてたものじゃない。
そしてパスポートだった。その下には沢山の服が埋まってある。
私は携帯とパスポートだけ取り出して、もう一度ファスナーを閉める。
「どうなさいますか?」
──日本に帰れ、ってことか。
きっとこの調子だと携帯もすでに復活してる。家族と連絡取るのもリョウと連絡を取るのも自由。
だけど厄介なのは、この携帯にはテヒョンの番号は入っていない。
「──っ、日本に送ってて下さい」
『強制連行』の次は『強制送還』な訳だ。BNのカードも持っているけど、心理戦の得意なアイツの事だ。
先手を打って、何かしら私をいれない様に伝えてると思う。
私が彼と居たと云う証拠は、ホテルマンが『かしこまりました』ともう一度下げていったスーツケースの中に死ぬほど入ってた服と、付けている腕時計。
そして財布の中の、クレジットカードと帝国の役員だけが持てるゴールドカードのみだ。
写真とか番号とか、そういう目に見えるものは一切無い。
「──ふざけんなよ」
独り言は、いつも私の飾らない本音
「アホな真似ばっかりしやがって」
「勝手に側において、こんなに好きにさせといて──また始めに戻って、勝手に捨てるんかよ。」
「こんなに……好きにさせといてっ」
悔しくて唇を噛んだけど、その癖を止めてくれる男性はもう私の側には居なかった。