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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆


空港からは車で18分ほどだった。

写真で見るよりも大きくてゴージャスな作りをしている、この五つ星ホテルのロビーにはアラブ系の人が目立つ。後は中国人、かな。

皆もう既にチェックインは済んでる様で、ソファーに座って各自何かを話していたり携帯を見ていたりと自由気ままだった。



「あの……」

「チェックインですか?」


「はい。さきほど電話した者なんですけど」

「お名前は?」


「──ソン・テヒョンです」

彼の名前を言った途端に、若い男性の表情が変わる。

直ぐ後ろに立っていた支配人が手で男性を静止する様にして、私へ笑顔を向けてきた。

「お待ちしておりました、名義本人様は明日のご到着で宜しかったでしょうか?」

「はい。」


「では、ここに貴方様のお名前とご連絡先、そして名義者様のお名前とご住所をお書きください」


フロントに出したキラキラと光るカードは帝国の役員など、極一部の人間しか持てない。このカードを持ってる人には皆、こんな対応なのか?

それとも”テヒョン名義”だから?


「……柳沢リサ様ですね。お部屋は48階のスイートルームA300になります。49階と50階はスイートに宿泊しているお客様のみがご利用出来るバーとジム、スカイラウンジとなっておりますので是非、ご利用くださいね」

「そうなんですね、どうも。」


カードを直して、鍵をもらってから頭を下げた。

これが海外の人から見て「あ、あれ日本人だ」と一発で分かるクセだと思う。


韓国に居た時思ったけど、基本的には頭を下げる文化は日本オンリーだろう。根付いたものだから、どこに住んでても直せないけど。



顔の濃い若いアラブ人男性と目が合い、ニッコリとほほ笑んだ瞬間にバッグの中でバイブが作動する。

自分の携帯が鳴ってるんだと直ぐに分かった。


そこには──ああ、見覚えがある、あの番号。


「……イさんっ!」


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