この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
シャネルを着た悪魔
第14章 ☆CHANEL NO14☆
──朝、6時にホテルのルームをノックしたのは先ず一人目……イさんだった。
どうやら昨夜の話を聞いたらしい。
彼は『これを着てみてくれ』と言って私にアルマーニのドレスを渡す。
黒メインだけどウエストの部分が真っ白のレースになっていた。丈が膝より少し上だからドレスと云うよりかはフォーマルワンピースだろうか?
『似合うね、今日はそれにしよう』と寝起きの顔で笑ったイさんはとても忙しいんだろう。
時折、携帯を見たと思えば、誰かと話したり色々していた。
そして、その次に来たのは……スタイリストさん。
アメリカ人のふくよかな女性は、世間話をする暇もなく、ものの10分で私の髪を完成させた。
一時期流行った神戸カール?って言うのかな。
ハーフアップで輪郭がハッキリ見えるから痩せている様に見られそうだ。でもそこに、コロネカールが上手に混ざり女性らしさも見受けられた。
───そして、再度ノック音が響く。
イさんが言った通りだとこの人が最後だ。
「はーい」
女性は単純。
いつもとは雰囲気の違う服を着て、雰囲気の違うセットをするだけで、ここまでルンルン足でキィを開けにいけるんだから。
ここにスターサファイアがあれば完璧だったけど──家に置いてきちゃった。
腕についているのは、彼からの贈り物である『ショパール』だけ。
でも、このショパールこそが私達の歴史を一番知っているだろう。私とテヒョンの──とても面白可笑しい歴史を。
「はじめまして、メイクを担当させて貰います……」
たどたどしい英語を話しながら深く頭を下げている彼女。
茶髪のロングヘアーに細くて華奢な体には───確かに見覚えが有る。
「ティー?」
「……リサオンニ!?」