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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
また私の夢に出てくるブロンド美女、マリリン・モンロー。
ショーウィンドウを眺めながら、何かを考えている彼女を接客していたのは……腰の低そうな日本人の男性だった。
この場面はきっと、ジョー・ディマジオと新婚旅行で日本を訪れた時だと思う。
新聞とか雑誌やテレビで何度も見た事があったのだ。
日本に降り立つモンローを。
『これをプレゼントする事にしようかな。幾らかしら?』
一つの時計を指さしながら、彼女はそう言う。
いつもテレビで見ている様な派手な服装じゃない。逆に大スターとは思えないほど、質素だった。
『……お代は結構ですよ』
『それはダメよ』
『ですが──そんなの頂けません』
か弱そうな父親の胸張った言葉を聞いて、彼の隣に居る小学生低学年くらいの男の子は驚いた顔をしていた。
こんな事、実際に有ったのだろうか。
聞いた事も見た事もない場面だからこそ、興味が湧く。