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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
『じゃあ──これを受け取って』
彼女は自分の首にかけられてあった、小ぶりの真珠のネックレスを外すと静かにショーウィンドウの上に置いた。
『これが御代よ。』
『──……良いんですか?』
『ええ。実はね、この時計はジョーへのプレゼントなの。彼、自分の人気よりも私の人気の方が日本では凄い事を知って機嫌が悪いのよ』
愛らしい笑顔で、そんな事を言った彼女はとても可愛かった。
”お熱いのがお好き”とか”ナイアガラ”に出てくる彼女も、大スターという感じがして好き。だけど……この彼女は、彼女らしさが出ててもっと好き。
『坊や、いくつなの?』
『8歳です』
『そう。』
時計を受け取ってから少年の顔を見て微笑む美女。
軽く頭を撫でてから静かに言った。
『私ね、こういう可愛い子供に恵まれて、普通の家庭を作りたいと思っていたの』
『それこそが──私の夢なの』
『私は成長するにつれて、自分がほかの子と違うことに気づいたの。私の生活には両親からのキスも嬉しい約束も貰った事が無かったのよ』
『もし今子供が出来たら直ぐにでもハリウッドを辞めて家庭を守るわ』
私でさえも知っている彼女の二つの有名な名言が発された瞬間だった。