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シャネルを着た悪魔
第16章 ☆CHANEL NO16☆

広い玄関に四人が居る。

「でね、会長。その時にテヒョンって自分の間違いを認めなかったの」

「ちげえよ!フォアグラは俺の食べ方で合ってるんだよ。」


「はあ?じゃあ、私のマナーの先生が間違ってるって言いたいの?」

少し前に、揉めたフォアグラの食べ方はどっちが正しいか……というラチの明かない話しだけど、聞いてる会長は何だか楽しそうだ。

玄関に一度腰を下ろしてから、高そうな茶色の革靴を履く。


「だから、そこまではっ──……」

反論しようとして、言葉を止めたテヒョンを振り向いた。


「どうしたの?」

「アボジ、その靴べらって……」

よく使っているのだろう、所々皮が擦れてかなり年期が入ってる。


「知ってるのか?お前のオンマから貰ったんだよ。もう何年だろうな。」

「オンマも使ってた」


「お揃いだったよ。それがどうした?何でそんな顔してるんだ」

今にも泣きそうな顔。



──そして、一粒の滴が彼の毛穴ひとつない綺麗な頬を伝った。

一粒だけ……まるで宝石の様。


「いやっ……」

「そんなボロボロになる位、使ってたんだ。と思うと何か嬉しくて」


「オンマも喜ぶな……っ。」


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