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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆
「可能性として考えるならば、テヒョンが他の女に目移りして、結果的にその子と入籍することもゼロではないと思う。」
「………。」
「リサちゃんは、親子って似てるモノだと思うかい?」
「似てるモノ?」
「そう。DNAとか、よく言うだろう」
「……ああ。……根本は似てるか真逆かのどちらかじゃないんですかね。」
「じゃあ、僕とテヒョンは似てると思うかい?」
わかりきった質問をしてくる。
そんなの──
「かなり似てますよ。」
「ソックリです。表情も……考え方も……強がりだけど実はピュアで繊細な所も……瓜二つだなって思います。」
「はは、そうか。じゃあ僕からのアドバイスをあげよう。」
「僕は、愛子が死んだ時──すごく悲しかったんだ。自分の大切なもの全てを失った気がした。」
「そしてその悲しみに打ち勝つために、仕事を熱心にした。──平行して愛した女を傷つけてしまった事実から逃げ出す為に、別の女を愛そうとした。」
「でもね、無理だったんだ。」
「サイボーグの様に綺麗な女性でも、名の知らない者は居ない人気の女優でも、相手がどんな人であっても」
「一緒にしている食事すら楽しくなかった。愛子ならきっとこう言ってたとか、そんな事ばかりが頭を伝うんだ」
「どういう事か分かるかい?」
「僕は、愛子と出会った時は上野芝財閥の長女と結婚させられるなんて夢にも思わなかった」
「でも、親父は──僕とシンビを結婚させた。」
「そして月日が経ち、愛子のことは『良い思い出』として受け入れられるだろう。と思っていたんだ」
「でも、今でも受け入れる事は出来ない。」
「だから有り得ないと思っていた、シンビとの離婚が成立した」
「愛子の死を受け入れる為に、今回この様な行動を取ることが出来た。」