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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆
「……ふぅっ。」
大きく深呼吸をしてから、出されたお茶を一気飲みする私の姿をまるで、小さい子を見る様な瞳で見つめてくる会長。
「あのね、会長」
「ああ。ゆっくりで良いよ。」
その言葉は本音だろう。
現にさっきまでは付けていた腕時計を、もう今は付けていなかった。
「さっき、テヒョンと今後について話してたんです。──私はテヒョンに結婚したいと言いました」
「だけど……彼は違った。」
「断られたんです。」
「こんな中途半端な人間のまま結婚するのは俺もファンの子も許さない。」
「だから帝国を建て直して、結果を残し……一人前の男になるまで待ってくれ。そう言われました」
「その時は、これだけ振り回してしまったファンの子も許してくれるだろう。──と。」
「───そうか。」
「でもね、私、思うんです。」
「帝国なんて一切継ぐ気が無かったテヒョンが、今回のこの一連で自分が継いで……財閥を大きくしていくことを誓ったと同じ様に」
「私を迎えにくるつもりでも、違う女に惚れる事も有れば私に飽きる事もある。」
「……国籍が、一回りも二回りも大きくなった彼の重りにならないって証拠は何処にも無いじゃないですか」
「だけど、それでも──私は彼と一緒に居たいんです。」
泣かなかった。
その代わりに、ダメな癖でまた唇を噛んでしまう。
あまりに強かったのだろう、しばらくそんな事をしていると血の味が口内に広がった。
「確かに君の言う通り、人生は何があるか分からないよ。」