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シャネルを着た悪魔
第19章 ☆COCO CHANEL☆

「──はあ、彼女と彼は『不倫』でしょ。私とテヒョンは戸籍上のしっかりとした夫婦よ。そして何でテヒョンがケネディみたいに殺される事が有るのよ。言い訳は良いから!」


ピシッと言い切った私に、昨日で京セラのライブが終わったテヒョンが大きく笑った。


私が真ん中で、両手には愛するテテとアイの小さな手……。

そして彼女たちを『守る』様に手を繋ぐのはアボジと私の旦那さん。


「だけどコイツ達楽しんでてよかったな。日本語が分かるから、理解しやすかったのか?」

「それも有るんじゃない?」



「なあテヒョン」

「何だ?アボジ」


「──帝国もアミューズメントパークをしてみるか?ほら、ロッテもしてるだろ」

「………。」


「だけど僕たちには基盤がない。まずは此のユニバーサルジャパンを買い取って「アボジ!」

今度はテヒョンの声に、私が笑う。


しょげたアボジは、テテから手を離すとリムジンに小走りで向かって行った。

「ったく……アボジはマジで孫バカだ」

「ユニバ買い取るってよく思いつくわよね」


「ああ……」


そんな『おじいちゃん』に悲しさを覚えたのだろう。


勢いよく走っていった双子が叫んだのは

「じいじ!サランヘヨ!」





──そう、日本語と韓国語が混じった愛の言葉。


私と……テヒョンが最も気にしていた問題であり、最も悩んだ『国籍』なんか関係無いと再度分からせる『魔法の言葉』だ。



振り向いたアボジは

帝国の会長としてのビジネス絡みの笑顔ではなく、孫を……そして息子と娘を愛する……愛子さんを愛し続けている、一人の男としての笑顔を見せて走って来るアイとテテを抱き上げた。



「ねえ、テヒョン」

「ん?」


「私と結婚してくれてありがとう」

「何だよ、イキナリ」



「こんな姿見れて──大阪に愛する五人で来れて──私は凄い幸せよ」


私の目が赤かったのは夕陽のせいじゃない。

真っ赤に燃え上がる『愛』のせいだろう。



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