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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「ちょっとリョウく~ん!」
「あーはいはい、ちょっと待って~」
「ジン君、ワインが好きなんですか?」
「ハイ」
最後のデートをした居酒屋。今日は貸しきりみたいだ。
男女関係無しに、煩く響く沢山の声。
そう今日は──1人でしっぽり飲むハズだったのに、怖い顔をしたリョウのマネージャーに帰り際、名前を訪ねられたのだ。
何も怪しまず素直に本名を答えた私。
だけど、それが運の尽きだった。『少し宜しいですか。』と、まるで何かの事件の犯人かの様に腕を強く引っ張られて舞台袖に連れていかれたのだ。
周りの女の子の視線が痛かった。きっと何かヤラカして、ついにドタマぶち抜かれる女……くらいの目で見られてたと思う。
───でも結局、裏ではリョウと会えずに『彼からの伝言ですので』という言葉と共に複数のメイクさんと一緒にバンに半強制的に乗り込んだ私。
我ながら思う。『なんちゅー展開の早さ』なんだろうと……
多分リョウが私が今日ご飯を食べに行くつりもりだったと分かっていたから打ち上げに誘ってくれたのだろう。
だけど私は、リョウと二人でご飯に行きたかった。
最悪な事に"Sfire"の皆もいる。
テヒョンなんて真ん中にどすりと座って、周りには可愛いモデルさんの様な女の子達を置いて、その姿なんてアラブの王様そのものだった。
「リサさんですよね~?」
「え?あ…ルイ君?」
「そうですよ~覚えてくれたんですね!今日、番組収録の時にずっと可愛いなあって思ってて。よく見たら『あ、ウチの取引先の人やん!挨拶きたやん!』と思って」
「一緒にご飯も食べましたもんね。あの時はごちそうさまでした。」
「ああ、いやっ。そんな……。こちらこそ普段からお世話になってます」
この人達がウチのメーカーの服を着てくれたら、売り上げが倍になるんだ。お礼を言うのは──本当に、こちらの方だった。
「え?!何、ちょっとテンション低くない?!」
「やっぱり俺じゃなくてテヒョンさんとかジンさんの方が良い?!」
「いやいやいや!ジン君ならまだしも──シャネル野郎はぜっったい無理!」