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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「シャネル?」
「えっと……テヒョンの事。」
「っ……ああ!なるほど!確かにテヒョンさんシャネル大好きで、よく着てるもんね!」
ルイくんは本当に日本語が上手だった。
通常、海外の方となら英語で話すけど彼となら日本語でも全然大丈夫だ。
「いや~でもリョウとリサさんが知り合いなんて僕はハッピーですよね!
「知り合いだからこそ『俺、呼ぶつもりだべ?』ってリョウが言ってくれて──今日こうやって会えたんだし!」
「何ですか、それ?」
「いや、僕また飲みたいなあって思って。何も知らないフリして『あの子可愛いね』って言ったんですよ、リョウに」
「そしたら──『心配するな、打ち上げ呼ぶよ』って言ってもらって……今に至る!って感じです」
とビールを並々注いでくれるルイくんは子供みたいだった。
有りがたいけどビールはなぁ……と思っていた時、ふと後ろから手が延びて私のグラスをスッと取られる。
「あ、リョウ!」
「よお、ルイ。こいつは基本的にワインかウイスキーしか飲めないからビール注いでもダメだぜ~」
と言って、一気に私のグラスのビールを飲み干してくれた。
「ありがとう、リョウ」
「──何だあ?今日は『素直デー』ってか?お前はイオンかよ」
芸能関係の打ち上げは初めてではないけれど、今日はやっぱり緊張している。
誰か知り合いが居るワケでもないし、周りから見れば『誰、あの子?』状態だったのだ。
──でも今、リョウが現れたことによって一気にその緊張が楽しさへ変わる。私の中でリョウの存在は未だに大きいのだろう。
「お前、何で来たの?」
「電車」
「絶対に終電無くすぞ。適当に空いてる時間見つけてコンビニに歯ブラシとか必要なの買いに行っとけ」
煙草をくわえながら、一度立ち上がってお尻のポケットからボッテガの財布を出すと──一万円札を私に握らせた。
「な、なによ、コレ」
「居るだろ、下着とか。明日の朝ごはんとか」
「いや……はあ?」
「分かんねえの?泊まってけば良いって事だよ」
いきなりのお誘いだった。私たちの会話を聞いてルイ君は、小学生の様にニヤニヤした表情を浮かべている。
「泊まらへん!帰ります!」