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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
「あー、ちょっとゴメンね。どいてどいてー…」
─昼休みの渡り廊下…
北校舎の教室棟と南校舎の実習棟を繋ぐ一本道にどこからともなく響いてくるそんな声。
それは同時に黄色い旋風を巻き起こして、接近。そしてその風に巻き込まれるように振り返る、と…
…あ、やっぱりそうだ。
「よっと、危ないよー。通るよーっ…」
─そこにはアタシの大好きな人がいた。
ひとつ学年が上で3年生の葵先輩。
少し明るめの髪をアップバンクにセットして、今日は黒縁のお洒落な眼鏡が目元に乗っている。緩めに結んだネクタイに、カーディガンの袖を腕まくり。
すれ違えば誰もが振り返る甘い顔に、高い身長、長い脚。そのうえ優しくて爽やかで、校内一のイケメンの歩いたあとは決まっていい香りが漂う。
そんな先輩が廊下の向こう側か駆けながらこちらへとやってくる。しかもなにやら急いでいる様子だ。
次々と囲まれそうになる黄色い声をかわし、抜群の運動神経ですれ違う通行人の間をすり抜ける。
「おっ、ウチの子発見♪」
少し遠目からアタシの姿を見つけた先輩の瞳が少年のような輝きを見せる。
ひとつ歳が上というだけでとても大人っぽく見えるのに、時々垣間見るこの少年のようなキラキラした笑顔はアタシの胸の音を軽く1オクターブはあげてくる。