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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…





「ねーぇ、元気にしてた?」

「フフッ、会うの朝ぶりですよ」


やがて近くまでやってきた先輩は、弾む息を落ち着かせながらアタシの隣にしゃがみ込む。


「…葵先輩、もしかしてなにか急いでます?」

「んー、ちょっと鬼ごっこ!?いや、かくれんぼ!?」

「クスッ、なんです?それ」

「あー、それはね…っと、ヤバっ!!」


ひと時の休息も、楽しいお喋りも束の間のこと。

アタシの指先に下から自身の綺麗な指先を絡めながら彼がにっこり笑ったところで、追手が迫ったらしく急に先輩が焦りだす。


「ゴメンっ、ホントはもっとお喋りしてたいんだけど…」

「大丈夫です。行ってください」


よく理由はわからないが、大好きな先輩のためなら仕方がない。少し残念な気もするが、楽しい時間は放課後までお預けにする。


「ホントっ、ゴメンねっ」

「…はい」


本当はもっと一緒にいたいけど…


「じゃそういうことで…」


一抹の寂しさを堪え、手先に絡んだ温もりが去っていく侘しさを感じながら彼を見送る…


アタシの手…

を…


─へ…!?



「一緒に逃げよっ♪」

「って、えぇぇぇぇ!!?」



…じゃれあっていた恋人たちの指先の戯れ事から一変、アタシの手首を大きな手でしっかりと掴み直すや否や、半ば強引に引いて走り出す葵先輩。


「ッ…ちょっ、センパっ…どういうッ…」

「うん!?とにかく全力で走って!!そして可愛いお口はチャック。じゃないと舌噛むよ」


え、待ってぇ────!!!





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