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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
─オレンジ色の西日が窓から斜めに入り込む。
その日の放課後もアタシは学校の図書室でひとり本を眺めていた。
賑やかな学校生活も大好きだけど、こうして静かな心落ち着く空間で本のインクの匂いに囲まれながら過ごす穏やかな時間も好きだ。
そして本を開いてその世界にじっくり浸るのもいいけれど、背の高い書架に豊富に敷き詰められた書物を隅から隅までゆっくりと眺めてまわるのもアタシの楽しみのひとつだった。
ここにはどんな物が置かれていて…
このタイトルの向こう側にはどんな世界が広がっていて…
気になった本を手に取りながら眺め歩くのはちょっとした冒険のような気分にもなる。
それに…
アタシがここを訪れる理由はまだ他にもあって…。
本の背表紙を眺めながら、壁のようにそびえる書架の間をゆったりした足取りで進む。そうして比較的奥の方までくると、洋書が所狭しと置かれるコーナーに出くわす。
そして、その高い書架に掛かる梯子の向こう側…
窓辺に背中を預けながら手元に視線を落とすひとつの影を見つけた。
「ッ…──」
差し込む西日に柔らかな髪を橙色に染めながら、伏せた睫毛の長い影を陶器のような白い肌に落として。人形のように整った品のあるその顔には、きっちりと崩さずに着こなされたブレザーの制服がよく似合う。
─そう、彼がアタシの
その一番の理由…。