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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第24章 萌の部屋
「これ、なに?」

と、洗い流さないトリートメントを見て誠は言う。

萌はああ…と言う顔をして

「髪の美容液みたいなの?美容室で店員さんに薦められたのだったら高いから、安いトコ探して買ってるの。確かにまこちゃんに乾かして貰うときは付けた後だったかもね」

と、トリートメントを髪につけ始めた。

ふわり…と香る香りは確かにいつもの萌の香りだ。

(こ、こんな秘密があったとは…!!)

何か違う気がするが、誠が好きな萌の要素。

しかも、恐らく、昔から愛用していた、誠を惑わせる香りだった。

トリートメントを付け終わった萌は、

「よろしくお願いします」

と、誠の前に座り、乾かすのを頼む。

「あいよー」

誠は髪の毛を丁寧に乾かしていく。

ぼぉーと鳴るドライヤーで乾かして行くのを、丁度、飲み物を追加しようとしていたらしい早苗が台所までやって来て、その光景を見、

「きゃあっ!そんな風にいつも過ごしてるのねっ!お父さんに見せたいくらいだわっ!」

と言いながら部屋に戻って行った。

誠自身思い入れのある萌の父を思い出しながら

(そういや随分ここに来てるのに、焼香してなかったや。)

と、思い、

「萌、これ終わったらさ、おじさんのお仏壇に行っても良い?」


と聞いた。

「うん!ありがとう!お父さんも喜ぶと思う!」

萌は振り返り、笑顔で言った。

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