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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第6章 憂鬱
「だからここは…」

そう言って、シャーペン片手に美咲に解説する隆を美咲は眺める。

昔から黒縁メガネをかけていたけれど、昔より長くなった指や声を発する毎に震える喉仏。

(改めて見たら…男になっちゃったんだな…)

そんな思いが過ぎる。

小・中と、マンモス校にいた二人。

違うクラスになった事はあるけれど、いつの間にか高校も一緒だった。

しかし、こんなにまじまじと、美咲は隆を見たことがなかった。

(…思えば、隣にいつも隆がいたな…)

そんな思いが過ぎる。

高校を入学して

「ええええ〜!?あんたとまた三年間もつるまなきゃいけないのー?」

「……なんか不満、あるか?」

なんて言いながら、三年間一緒に過ごした。

部活も一緒で、隣の家に住む男の子。

(哲治くんと、付き合っていなかったら、どうなっていたんだろ…)

ふと、そんな思いになった時

パッと隆が顔を上げた。

今まで以上に近い距離。


隆はいつもと同じように

「どうした?」

冷静な表情で聞く。

美咲は心の中でわたわたしながら、

(いっつも、読めないな……)

と思う。

だから、美咲も冷静に

「なんでもない。」

と、答えた。


「そうか?」

そう言いながらも、また、解説を始める隆。

美咲も集中して、勉強をすることにした。

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