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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第45章 依頼

「その時はまたここに来ればいいだけの事だ。もう用がないから帰ってくれ。仕事は必ずやる」
弁護士は最後まで名を名乗らずに達也を事務所から追い出した。
(何だあのヤロー、ふざけやがって!あんな弁護士が偉そうに何様気取りだっ!)
達也は憮然とした表情で事務所を後にした。
あの鋭い眼光は裏の世界でかなりの修羅場をくぐり抜けてきた者の証だ。
だが、ホントに鴨志田を助け出せるのか?
達也は異臭を放つこの界隈を足早に去っていった。
不気味な界隈で、誰1人として外にいない。
借りにここで殺人が起きても、おかしくない程、身の危険を感ずる通りだ。
達也はその足で母親のマンションへと向かった。
この時間は亮輔がまだ寝ている頃だろう。
夜遊びをして、朝方に帰り、寝ているという昼夜逆転の生活をしている。
達也はマンションに着き、地下の駐車場に停めてある母親の赤いベンツに乗り込み、母親に教えた会社までの道のりを通っていた。
そして、木に覆われた細い路地に車を停め、辺りを見渡した。
(よし、この場所だ)
達也はこの細い路地から木に覆われて見えなかった横路を見つけた。
ここなら車を置いても、路地からは見えないはず。
頭の中で計画のイメージが出来上がった。
後は鴨志田を待つのみだ。
達也は再び車に乗り込み、駐車場に車を停め、ワンルームのマンションへ帰った。
部屋に戻り、シャワーを浴び、あの界隈に漂う異臭が見に染みて、一刻も早く身体を洗い流したかった。
もう後戻りは出来ない、賽は投げられた。
達也はその後、深い眠りについた。
全ては明日、まずは鴨志田を弁護士が話をつけてソープから足を洗ってからだ。

