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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第168章 所詮人間は醜い欲望の塊
勿論、ナツには正直に話す筈がない。
だが、小島も犯罪に関わっているのは事実だ。

【これで全てが解った。オレを消そうと計画してるヤツら全員返り討ちにしてやる】

「…警察に動いてもらうとか出来ないの?こんな事の為に人の命が無くなるなんて…」

【ナツ、コイツらは警察が敵うような相手じゃない。それが出来れば最初っから警察に頼んでるさ…心配すんな、オレは死なない】

「…でも他の人の命が…いくら犯罪を犯してるとはいえ、目には目をって考えは良くない…」

【いいかナツ。そんな事が出来ればハナッから犯罪なんて起こらない。何で犯罪が起きるか?それは人間ってのはこの世で1番醜い生き物だからさ。綺麗事並べても、大金を目の前にした時、ものすごいいい女が手招きをしてる時、何がなんでも手に入れたい物が目の前にあった時、人間ってのは皮1枚めくればただの欲望の塊に過ぎないんだよ、解るか?】

「そりゃそうだけど…」

【聖人君子なんてこの世にはいないんだ。誰もが俗物、オレもお前も、皆そうなんだ。だからこそ犯罪が起きる。テメーの欲の為には手段を選ばねえ薄汚えヤツらがオレを消そうとしてるんだ…ならばこっちもそれなりの覚悟をしなけりゃならない】

達也の言う事は自分の事をすり替えてるだけに過ぎない。
だが、人間は欲望というのがある限り、犯罪は減らない。

欲望をモチベーションにして正しい方向へと努力して手に掴む者もいれば、例えどんなに汚い手を使ってでも掴み取る者もいる。

達也は正に後者で、欲望の為なら身内すら手にかける程の非情さを持つ。

「…とにかくもうすぐで帰国するわよね?着いたら真っ先に私の所に来て欲しいの」

【そのつもりだ。そしてしばらくの間、誰も知らない場所でゆっくりと暮らそう】

「うん、待ってるからね」

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