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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第171章 私も整形したい…
「なかなかいい見晴らしじゃねえか、なぁナツ」

マンションのベランダからコリアンタウンを見渡せる高さで、達也は心地よい風を浴びた。
10階建てマンションの7階に部屋を借り、達也とナツは新しい暮らしをスタートさせた。

「でもさぁ、コリアンタウンなんて言うけど、どこが韓国っぽいんだ?ただ焼肉屋や韓国料理の店が多いだけじゃん」

人々はこの地をコリアンタウンと読んでいるのだが、中に入ってみるとどこにでもあるような街の風景で、言葉もハングルだけじゃなく、日本語も飛び交っている。

「でも、たまにニンニクとかごま油のような匂いしない?キムチを漬けてる家庭が多いから」

とはいえ、必ずしも在日の人は必ずキムチを作るというワケではない。
元々は日本で生まれ、日本で育っているのだから、ごく普通の家庭と何ら変わりはない、ここの何処がコリアンタウンなんだ?あの弁護士がいた澱んだ空気に老朽化した建物が並ぶ場所にの方がよっぽど日本らしくない。

「ただ単に韓国籍の人がいるってだけで、周りは住宅街じゃん!」

何故、この街が日本人にとっては相応しくないのか、達也には理解できない。

「それが在日の暮らしなの。でも全く日本と変わらない生活してるでしょ?なのに何で差別されるのかな…」

ナツはリビングで洗濯物を畳んでいる。
マンションの造りだって日本人向けの仕様だ。

「まぁ、同胞っていうぐらいだから、皆同じ場所に集まって生活してるんだろうな、海外に行けばチャイナタウンやジャパニーズタウンだってあるんだし、同じようなもんか」

日当たりは良く、決して新しい建物ではないが、レンガ調の外観で、決して他のマンションと比べても見劣りしない。

「そうなんだよね、でもここにいる人は皆、自分は一体何処の国の人間なんだろう?って思ってるはず」

全部が全部という訳ではないが、在日の人々は自分のアイデンティティーとは何だろう、そんな疑問を抱いているのか詳しくは解らない。
ただ、ナツの言うとおり、日本で生まれ育っている日本人なんだ、という考えの人もいるはず。

ただ国籍が違うだけでこうも待遇が違うものなのか、達也にはイマイチピンとこなかった。

「いいじゃん、すぐ近くに焼肉屋はあるし、韓国料理店だって韓流ブームの時に流行ったじゃん?オレ、韓国の料理好きだし、ここは気に入ったよ」

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