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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第174章 戦慄の踵落とし
ソンヒョクの左のジャブをかわした。だが、それはフェンイトで、同時に右足を高々と上げ、達也の頭上へと振り落とした!

(…やべっ!)

テコンドーの代名詞というべき、踵落としという蹴り技だ。

瞬時にかわしたが、左肩がソンヒョクの踵をかすめ、その鋭さに肩の皮膚が切れた。

カミソリでスパッと切られたかのように、肩口から血が流れた。

「小島、どうした?反撃しないのか?」

ソンヒョクの切れ長で鋭い目付きが達也の動きを封じ込めている。
この男、タダ者じゃない、格闘技経験者だが、試合で使うような技ではない…

(…コイツ、これで人を殺した事あるんじゃねぇのか?)

達也はビビっていた。この雰囲気に殺られる!

ソンヒョクは左右の変幻自在な蹴りで達也を攻め立てた。
辛うじてガードしているが、腕の骨が折れるんじゃないか、という威力のある蹴りの前ではこれ以上ガード出来ない。

(…恐い、恐いよ…)

達也が恐怖で怯えていた、ソンヒョクは殺気に満ちた目付きで達也をコーナーへと追い込んだ。

(殺される!)

「ぅあ~っ!」

無意識のうちにソンヒョクにしがみつき、二人はそのまま倒れ込み、寝技の体勢になった。

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