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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第9章 サジタリアスの女 飛翔の章
静かな森の中を散歩する。
慌ただしい日常をリセットしようと思うと自然に触れるのが一番だ。
真夏でも山の中はひんやりとして過ごしやすい。――そろそろ夏も終わりか。
少しずつ木々の色合いが変わってきて、風も乾き始めている。柔らかい湿った地面を踏みしめながら歩いていると、カシャ、カシャと音が聞こえた。
斜め上を見ると立派な一眼レフのカメラで写真を撮っている、ショートカットのスポーティな女性がいた。
レンズの先にはモズが小さな虫をくわえて、ちょんちょんと歩いている。静かにしているつもりだったがパシッと小枝を踏んでしまい、モズは飛び立ち、ため息混じりに女性がこちらを振り向いた。
「ごめんなさい。音を立ててしまった」
「あ、いえ。こちらこそ。あの……。ここってあなたの土地でした?」
「そうですね。一応、そこの川向うまで。」
「すみませんでした。私有地かなあとは思ったんですが、雰囲気が良くて……、ついつい深く踏み込んでしまって」
「いいですよ。荒らしに来たんじゃないようだし。写真を撮りに来たんですか?」
「はい。あ、私、こういう者です」
――イデイ写真館 出射若菜
「写真家さんですか」
「うーん。まあ。普段は結婚式とか人ばっかり撮ってるんですけど、本当は自然の風景を撮っていたいんですよね。
でもそれじゃあ食べていけないんですよねえ」
化粧っ気がなく、しかし透明感のある肌と短い髪が少年のように感じさせられたが経歴を聞くと恐らく三十代前半だろう。
すんなり長く伸びた手で、杉の木の幹を優しく撫でている。
「うちの土地ならいつでも来ていいですよ」
「ほんとですか! ありがとうございます。来月コンクールがあるので助かります」
「いい写真とってください」
丸い黒い目をキラキラさせ若菜は周囲の木々や空や地面をぐるりと見まわしている。
すぐに彼女は自分の世界に入ったので、僕もそっと引き返し山歩きに戻った。
慌ただしい日常をリセットしようと思うと自然に触れるのが一番だ。
真夏でも山の中はひんやりとして過ごしやすい。――そろそろ夏も終わりか。
少しずつ木々の色合いが変わってきて、風も乾き始めている。柔らかい湿った地面を踏みしめながら歩いていると、カシャ、カシャと音が聞こえた。
斜め上を見ると立派な一眼レフのカメラで写真を撮っている、ショートカットのスポーティな女性がいた。
レンズの先にはモズが小さな虫をくわえて、ちょんちょんと歩いている。静かにしているつもりだったがパシッと小枝を踏んでしまい、モズは飛び立ち、ため息混じりに女性がこちらを振り向いた。
「ごめんなさい。音を立ててしまった」
「あ、いえ。こちらこそ。あの……。ここってあなたの土地でした?」
「そうですね。一応、そこの川向うまで。」
「すみませんでした。私有地かなあとは思ったんですが、雰囲気が良くて……、ついつい深く踏み込んでしまって」
「いいですよ。荒らしに来たんじゃないようだし。写真を撮りに来たんですか?」
「はい。あ、私、こういう者です」
――イデイ写真館 出射若菜
「写真家さんですか」
「うーん。まあ。普段は結婚式とか人ばっかり撮ってるんですけど、本当は自然の風景を撮っていたいんですよね。
でもそれじゃあ食べていけないんですよねえ」
化粧っ気がなく、しかし透明感のある肌と短い髪が少年のように感じさせられたが経歴を聞くと恐らく三十代前半だろう。
すんなり長く伸びた手で、杉の木の幹を優しく撫でている。
「うちの土地ならいつでも来ていいですよ」
「ほんとですか! ありがとうございます。来月コンクールがあるので助かります」
「いい写真とってください」
丸い黒い目をキラキラさせ若菜は周囲の木々や空や地面をぐるりと見まわしている。
すぐに彼女は自分の世界に入ったので、僕もそっと引き返し山歩きに戻った。