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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第11章 アクエリアスの女 変革の章
「いたた」

「ごめんなさい」

 腰を抑えながらコーヒーを淹れていると、トモは申し訳なさそうに頭を下げた。

「いや。いいんだ」

 複雑な気分がぬぐえないがトモを女だと思い込み『征服したい』という言葉に高をくくっていた僕の傲慢さに非がある。

「僕と若菜のことは気にしなくていいよ。若菜の僕への想いも気にしなくていい」
「ん」

「今はみずがめ座の時代。まさに君の時代だよ」
「ボクの……」

 そう今はみずがめ座の時代に突入したと言われている。
古い形式は失われ、新しい価値観が生まれるだろう。モノよりも情報に価値が置かれ始めている。
それ故、時代に取り残されたり孤独に陥る人も多いことだろう。

「若菜を支えてやってくれ。僕はここで星を眺めるだけだから。君は自由なまま彼女と連れ添えるかもしれない」
「はい。ボクは彼女を自分の半身だと思っています。たとえ彼女がそう思ってなくても」

「そうか」

 もう完全に僕の出る幕はない。
トモと若菜は新しい時代の恋人たち。
 まだ偏見や因習と戦わなくてはいけないかもしれないが、二人なら立ち向かえるだろう。どこに向かっているのか、どこが終着駅かわからない旅路を永遠のパートナーと歩んでいけるトモを羨ましく思う。

「もう会うことはないと思いますけど、お元気で」

「うん。君も頑張って」

 僕を抱いたトモは、気が付くと精悍さを伴って幾分か青年らしく見えた。――男に生まれるのではない。男になるのだ。

 有名な言葉を変えて呟いてみる。
立ち去るトモの背中を見つめて祝福があらんことを、と祈った。
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