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お兄ちゃんといっしょ
第11章 第11章
 ミント臭混じりの唾液がきつく臭う。

 生まれて初めて人間に舐められた。
 犬と違う、分厚くてねばついた質感。
 気持ち悪い。
 なんでこんなことするのか意味が分からない。
 こんなことして、気持ちよくなるわけがない。

 
 もうやだ。帰りたい。
 お兄ちゃんちに、帰りたい。


 半泣きになっている私の身体を、ひふみっくすが後ろから抱きしめる。
 ひふみっくすは、今度は私のうなじを舐めた。
 唾液でたっぷり湿った舌で、何度も何度も。
 そのたびに、熱く蒸した息が、首裏から肩にかけてむんわり当たる。


 ほんとに、やだ。


 身体をこわばらせ続ける私に、ひふみっくすはもう一度、今度はさっきより強い口調で囁いた。


「ねぇ…やる気あんの?」


 突然右の指先に痛みが走った。
 驚いて痛みの方に視線を向けると、ひふみっくすの親指の爪が、私の右人差し指と肉の隙間にギリギリと力強く捩じ込まれているのが見えた。
 悲鳴を上げ、咄嗟に右手を引っ込める


 ひふみっくすは不服げに言った。


「なにその態度。
 昨日あらかじめシナリオをラインしといたでしょ?
 さては、ちゃんと読まなかったね?」


 ひふみっくすは私から体を離すと、もう一度仰向けに寝転んだ。



「欲情したこのみが出勤しようとしてるお兄ちゃんを引き留めて、お兄ちゃんとセックスしたいって告白してお兄ちゃんが同意した…ってとこからプレイをはじめたいの、僕は」


 言いながら興奮したのか、ひふみっくすは大きくなっている股間をズボンの上から自分で触りはじめた。




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