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お兄ちゃんといっしょ
第21章 第21章
 悲しいことに、泣けなかった。
 涙が出ないのだ。
 誠太郎の前でも、遥輝の前でも泣けたのに。
 一人きりになると、泣けなかった。


 キッチンのカウンターに放置されたお兄ちゃんのスマホを手に取り、布団の上に転がる。
 枕はお兄ちゃんの匂いがした。


 昨日、お兄ちゃんはここで、あの妊婦を抱いたのだろうか。
 妊婦も喘ぐのだろうか。
 おちんこが膣の奥に擦れて、気持ちいいって、泣くのだろうか。
 お兄ちゃんはどんな顔をして射精するんだろう。
 


 私は知らないのに、あの妊婦はそれを知っているんだ。
 


 この気持ちが俗に言う「嫉妬」なのだろう。
 やってられない気持ちだった。




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