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お兄ちゃんといっしょ
第4章 第4章
 パパとママは、一ヶ月に一度はどっさりお土産を持って私に会いにおばあちゃんちに来た。

 パパとママは優しかった。
 いつも「大好きだよ」「愛してるよ」と言いながら私を抱き締めた。
 
 年に数回は遊園地やテーマパーク、旅行に連れて行ってくれた。
 
 私に会いに来たパパとママはいつも最初は優しいけれど、私の行動のせいで何か一つでも自分たちの都合が悪くなると途端にイライラしだした。

 一日中一緒に過ごした日は、おばあちゃんちに私を送り返すとき、心底ホッとした顔をしていた。

 なのに、別れ際、決まってパパとママは私にこう言った。


「離れて暮らしてるけど、寂しくなったらいつでもおいで。パパとママは奈々のことを愛してるからね」


 と。



 嘘だ。
 嘘だ。
 仮に私がその言葉を真に受けて彼らの戸建て住宅に転がり込んだところで、3日もしないうちに私はイライラの爆発した彼らのどちらかに殴り殺されるに決まってる。

 そうならないよう、パパとママは私と離れて暮らし、自分たちが娘殺しの罪を背負わないよう対処しているのだから。


 愛してる?


 それってさ。
 自分たちの良心の呵責に耐えられず表面的に口走ってるだけの言葉じゃん。



 全部嘘。
 なにもかも嘘。
 私はパパとママの気まぐれで生まれて来ただけの存在。


 そんな私が“誰か”に大事にされるわけがない。
 両親にすら大事にされなかったのに。


 
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