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お兄ちゃんといっしょ
第6章 第6章
 とっくに汗の乾ききったお兄ちゃんの身体は、ひんやり冷たかった。

 寄り添い温めるように身体をぴったりくっつけ、胸の辺りに抱き着く。
 むちむち盛り上がった胸板を手のひらで撫で、無精髭がちくちく伸びた頬に軽くキスしても、お兄ちゃんは目覚めない。


 睡眠薬を常用しているお兄ちゃんが嗜好品を吸うときは、よほど睡眠不足が続いたときだ。

 “嗜好品”はその名の通り神経を覚醒させるから、普通なら眠気を覚ますはずのものだけれど、お兄ちゃんにとっては睡眠薬感覚のものらしい。

 気持ちよく酔って、そのままぐっすり眠ることが一番の幸せだと、お兄ちゃんは言った。
 
 この習慣はお兄ちゃんが前職に就いたときから続いているのだという。


「お兄ちゃんつまんない。早く起きてよ」


 お兄ちゃんの太腿に自分の足を絡ませると、お兄ちゃんの腰の骨の出っ張ったところにおまたが擦れた。
 全身がきーんと痺れる。


「お兄ちゃん、起きて…」


 お兄ちゃんの入れ墨の肩にしっかり頬を寄せ、お兄ちゃんの皮膚の匂いを吸い込む。
 むんわりした、男のにおい。

 
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