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囚われの城
第10章 「城へ戻ります」
瑠菜が学校へ行くと、チラチラ見られているような感覚に気付いた。
陰口を言われているような、とても不安になる視線を感じていた。
教室に入ると、その視線はさらに突き刺さる。
ユズの姿を探すが、ユズは他の友達数人と楽しそうに話していた。
今話しかけるわけにはいかない。
「みんな席につけー。HR始めるぞー」
担任がいつものように一喝する。
それぞれが席についたので、隣の席のユズにおはようと言ったが、まるで何も聞こえてないかのように無視された。
「今日は来月の文化祭のーーー」
瑠菜は担任の話も耳に入らない。
ユズに無視されたことがショックだった。
あたし、何かしちゃったかな…。
「最後に…。生徒の間で噂になっている件についての注意だ」
担任は名簿をパタンと閉じ、真剣な顔をした。
「一部の生徒の間で根も葉もない噂を立てて、一定の人物を避けないように。これはイジメに該当するので、噂に惑わされない強い人間になってほしい」
「な、んで…」
チラチラと視線を感じる。
なんでそんなこと言うの…。
もしかして、あたしのことについて、何か噂が…。
不安で瞬きもできない瑠菜に、追い打ちをかけるように担任が言った。
「それから杉浦、1時間目が始まる前に生徒指導室に来なさい」