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囚われの城
第2章 主、桐原 黎明
瑠菜は黎明にそう言われ、膝がガクガクするほど緊張しながら、黎明に付いて行った。
向かったのは玄関ホールの正面の扉。
初めて入る部屋だった。
「どうする?個室がいいか?」
「個室もあんのか?」
「あぁ、そっちだ」
メイドを連れた男たちは各々個室に入った。
そこに残ったのは、黎明と瑠菜だけ。
瑠菜はこれから何が起こるか想像がつかなくて、ガタガタと震えていた。
「昨日、ここに来たんだろ」
「はい」
「俺が桐原黎明だ」
「……よろしくお願いいたします」
「くくっ」
黎明はタバコに火を点け、喉を鳴らして笑った。
瑠菜は初めて黎明の顔をよく見た。
鼻筋が通っていて、笑うと頬にしわができて、喉仏がつんとしていて。
瑠菜が見る限り、黎明は悪い人ではないようだった。
「龍に何か聞いた?」
「このお屋敷の決まり事や、仕事の内容を聞きました」
「俺のことは?」
「いえ……ご主人様の言うことは聞くようにとだけ……」
「へえ。あいつらしいや」
「……」
「どうした?」
「いえ、なんでも……」
「……ちょっと見とくか?」
「え?見る、というのは……」
「こっち来て」
黎明はタバコをくわえたまま、早足で部屋の奥に向かった。
そこにはパソコンがひとつ置いてあり、それを慣れた手付きで操作した。
パッと画面が切り替わると、そこには男女の情事が鮮明に映し出されていた。