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囚われの城
第11章 サラという人間


「あんた、なんで戻ってきたの?」


15歳までのメイドが生活をする梅の間でメイド服に着替えていると、サラが話しかけてきた。

ずっと着ていなかった、胸をさらけ出したメイド服にやっぱり抵抗が隠せない。


「せっかく出て行って清々してたのに。ご主人様に気に入られてきたのになー」

「…」

「…ま、龍も戻ってきたからいっかぁ」


サラはそうやって瑠菜に嫌味を言うが、他のメイドとは一切話さない。

サラのこと、学校でいろいろ聞いた。

瑠菜が大好きだった紫苑や、ユズの好きなヒロトと関係を持ったこと。

そして龍がサラを気に入り、面白くなかった日向がサラの両親を陥れたこと。

サラの嫌味は確かに腹立つが、そんな運命を背負ったサラに瑠菜は黙っていた。


屋敷に戻ったその日、黎明と顔を合わせることはなかった。

仕事で海外に行ってしまい、帰ってくるのは3日後。

それまで瑠菜は、屋敷の仕事をおさらいするため、サラとコンビを組んでいた。


「あーあ。めんどくさーい。金魚のフンみたいにくっついてくる奴いるし」


そう言って瑠菜の前では文句ばかり並べる。

白く膨らんだ乳房が、歩くたびに揺れる。

形のいい尻をぷりぷりさせながら、瑠菜の少し前をサラは歩く。


「学校どーだった?」


サラは階段の手すりを乾拭きしながら、瑠菜のほうを見ずに言った。


「懐かしいなー。学校楽しかったのに、なんであんた戻ってきたのよ」

「楽しくないことがあったんです」


サラが紫苑やヒロトと関係を持ったから、あたしがあんな目に合わされたんじゃん。

密かにそう思ったが、言葉にしなかった。


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